ペミカン H20年11月29日 (赤口、大潮、旧暦11月12日)
昔の日本の冬山の携行食に“ペミカン”と云ふ料理がある。簡単にいうとラードで炒めた“肉野菜炒め”で、炒めた後に煮詰めてペースト状にした食材である。ラードは冷えると食材を覆うように固まり腐敗を防止し、保存携行に適した食品素材になる。普通小分けして保存するが、冬山では凍結するために長期保存が容易になる。小分けしたペミカンを少しずつ加熱解凍してそのまま野菜炒めや、カレー、シチュー、豚汁、肉じゃが、スープ、チャーハン等の素材に使用する。要は料理を纏めて下ごしらえして小分け後に保存、最後の味付けを変えて日替わり料理を楽しむと云ふ発想である。ペミカンの起源はインディアンの携行食説、犬の餌説等の諸説があるのでネットで調べるのも一興である。何れにせよ南極探険家が利用して登山家に広まった調理法であるらしい。現在はレトルト食品、凍結乾燥食品がペミカンにとって代っている。今、腎不全用の低蛋白ペミカンを調製するなら、肉を少なめで煮汁を捨てればカリウムも除け、高カロリーであると思った。
余は米国に留学中にこのペミカンの発想で良く日本食を賄った。カレー、シチュー、肉じゃが、豚汁は一人分賄うのが大変作りにくい料理であり、カレーは大なべで作ると、毎日カレーばかり食ふはめになり辟易する。しかしどの料理も、ルーを入れる前までは材料及び調理法がほぼ共通であり、あまり大差ない事に気がついた。そこで、タマネギ、人参、ジャガイモ、肉等を大なべで煮て(今ならその煮汁を捨てるといふ工程がはいるが)、然る後に一人分を適量に小分けして冷凍保存する。用時、解凍して最後の味付けを行う。同じ素材で毎日違った料理が頂け手間も省けた。冷凍庫があればラードで固める必要は全くない。また今では余は、ペミカンの発想を腎不全食に応用して、カリウムを煮出した野菜を一度に沢山調製し小分けして冷凍保存しておる。同様の発想で、あく抜きした筍を凍結保存しているのはどこの家庭でも行っている。
蛇足であるが、余は米国滞在中現地の食事に辟易して鍋料理(現地の素材で簡単に出来る日本料理で、食器洗いが楽なので良く作った。カレーは食器洗いが大変なのでやや敬遠した)も同様の発想で調理した。大鍋に水炊きで下ごしらえして、初日はポン酢で一人分食し、翌日は醤油味で食す。3日目は鍋に味噌を溶いて味噌味で食う。4日目は残しておいた煮汁でオジヤを作って食った。今では4日目のオジヤはカリウムが溶けているので断念しなければならないが、当時は1回の調理で4日分の日替わり鍋が出来て大変重宝した。大家族の場合一人分の低蛋白食を賄うのは大変であるが、調理工程を見直し、差別化する部分を最後の工程に持ってくれば少しは楽になる筈である。老婆心ながら、たまには健常者も1週間ぐらい低蛋白食に付き合うのも良いだろう。普段如何に恵まれた食事をしておるか感謝すると思ふ。
以前(10年以上前)、奥さんが、おでんを沢山作り毎晩夕食に小出しして、1週間おでんばかり食わされていると良く愚痴っていた同僚がいた。当時はどこでも同じ様な発想をするものだと可笑しくなった事を思い出したが、昨日その元同僚から奥さんの喪中の葉書を戴いた。 合掌
里に下りて来た紅葉
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